ようやく、ワクチンの再入荷が始まり、接種可能になりました。
無料対象者は、中1~高1の女子で、保健センターから用紙が届いていると思います。
産婦人科だけでなく、市内の多くの病院で接種できます。
多治見市の現状として、来年の3月までが無料対象期間です。以前から、他の市町村より接種開始が遅れた分、期間延長の救済策を!と市に訴えてますが、進展していません。
この予防接種は、初回、一か月後、初回から半年後の計3回の接種が必要です。遅くとも初回を9月中に接種しないと3回目が4月以降になり、自費になる可能性もあるのです。
約20年現場で診察してきて、20から30歳で子宮頸がんにかかる方が増えているのを実感します。
妊娠が分かった時点や不妊治療を開始する際に、検査をしますが、その際に発見ということが、少なくないのです。本当に心が痛みます。
子宮頸がんは唯一、予防ができる癌です。
予防意識を強く持って、是非、家族で子宮頸がん検診やワクチンについて、話し合いましょう。
私はワクチンは有用だと考え接種をおすすめしていますが、どのワクチンにも副作用はあります。
安易にみんながとか、無料だから接種するのではなく、リスクとベネフィット(利益)を家族で理解、納得した上で、決めていただければと思います。
またワクチンを接種すれば、癌にかからないわけではありません。
ワクチン(性交渉前に接種)により、60~70%の予防が可能と言われています。
加えて検診を定期的に受ければ、ほぼ100%予防できます。
子宮頚がん検診は癌を発見するだけでなく、癌になる前の病変を発見して、がんになるのを防ぐ検診でもあるのです。
まずお母さんが、子宮頸がん検診を受診されることを切に願います。
多治見の検診率は非常に低く、とても心配です。私は、年1回は検診を受けてほしいと考えています。
***以下、簡単に原因・治療についてまとめました***
子宮頚がんの原因は、99%以上がHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。
HPVはとてもありふれたウイルスです。
性交渉の経験がある女性なら、その回数、期間、人数にかかわらず誰でも感染している可能性があります。
感染しても自覚症状は無くほとんどの場合、免疫力でウイルスを追い出すため、1~2年で自然に消えます。
しかし、極まれに子宮頚部の細胞に変化(異形成)を起こすことがあります。
異形成を起こしても、多くの場合、免疫力で自然に正常の細胞に戻ります。
ところが中には異形成が強くなり、前がん病変、がん細胞に変化してしまうことがあります。
HPV感染~がん化までに、5~10年かかると言われています。
性交渉が15歳前後で珍しくない昨今で、20代での子宮頸がんが増加している理由や、20代から検診の必要性も理解していただけると思います。
前がん病変、もしくはそれ以前で発見されれば経過観察で済むことも多く、円錐切除という治療法(病変を円錐状に切り抜く手術)等で完治もします。 子宮は残りますし、治療後の妊娠や分娩も可能です。
多治見市では子宮頸がんワクチン接種の全額助成を平成24年度も継続して実施することとなりました。
<平成24年度接種対象者>
平成24年度において13歳(中学2年生)~16歳(高校1年生)となる女子
※但し、平成24年度において高校2年生相当の子は平成23年度中(平成24年3月末まで)に子宮頸がんワクチンの接種を1回でも受けていれば、平成24年度全額助成接種の対象となります。